陳情令(感想)
陳情令。怒涛のままにドラマをみた感想です。長いのでいくつかのパートに分けて書いていきます。ドラマ視聴後に一気に書き連ね、さすがにリアルの友人にみせるのは気がひける内容もでてきそうだったのでこちらに回避…。以後はこちらに更新かけていきます。
以下のような構成となります。
1.全体感想(この記事)
2.ドラマについての感想
3.各キャラへの感想
4.疑問
前提
前提としてドラマしかみてません(2021/10/02時点)。原作未読、アニメ未視聴。ドラマ一回視聴の前提での感想を書き留めておきます。原作はBLではありますが、その前提が入ったところでの感想ではないけれど、前提としてその構成が頭にはいってしまっているので、そこは若干フィルターがかかるのはご愛敬…。
基本的にネタバレありです! というか一切気を使ってないので満載です。ネタバレNGの方は閉じてください!><
感想統括
とにかくよくこの全体の話を考えたな、とまずそこが本当にすごいと思いました。同人レベルではないですよーと。構成が緻密で伏線のはりめぐらしかたと回収がとにかくちゃんとすごいです。そりゃ細かくいったら多少?のところや矛盾がありつつも、ここまでちゃんと広げた風呂敷をたたみきったのはすごいと思いました。もうね、最初のこの出来事は昔のここにつながっていたのか! みたいなどんでん返しがいい感じに続きます。
大ヒットした理由がわかります。ただ前提とした世界観が中華ファンタジーでは当たり前の設定なのか、それともドラマだから端折られているのかがわからないけれど、いまいち理解できないところもないわけではないです。もう一回みなおしてみればわかるかな。
他の小説の特徴と比較を考察したものです。
♯当たり前ですが、全く違う土俵のものなので、どれが優れているとかいう話ではなくて、単純にわたしが好きで、なおかつ一般的にも知名度がありそうな物語の特徴を比較して、この話の雰囲気をつかんでもらえたらいいなというのが目的です。ちなみに解釈も全く独自なので、こんな考え方もあるよっていうのがあったら是非教えてほしいです(ここ大事)。
まず比較としたい最初の小説に指輪物語です。
指輪物語は壮大な国の創生から滅亡まで何千年という単位で設定された歴史をしっかりとつくりあげて、その上でそこに至る歴史が記された物語だとわたしは思っています。その壮大な世界観がまるで一つの国の歴史書を読んでいる。その分だけ各人の感情の動きはそこまでこまやかではなく、あえていうなら古事記を読んでいるような印象です。
さてお次は、最近大ヒットしたアメリカのドラマ、ゲームオブスローンズ。
ゲームオブスローンズは指輪物語よりもう少し短い期間の王国同士の歴史と、そこに至る関係者の動きが緻密に設定された話。それはそれで素晴らしかったが、歴史、事実ありで話しが動いていく印象。例えば極端な話、だれかがここでこの選択をしなければ後のことが大きく変わったかも、少し少ないかもです。絶対的な歴史の変遷に対して人々が何をしたか、という視点の物語。あえていうならシェイクスピアのマクベスなどを壮大にしたものと感じています。
そして「陳情令」は、誰かの行動が誰かの行動に影響を与え、それによって事態がどんどん動いていくことを描くことに大きくフューチャーされている小説だと思っています。ある出来事が別の人にどう影響を与えていって、その結果その人の行動がかわったことからそのあとの事実がどう変わっていったか、というのをとても綿密に設定され書き込まれています。だから「もしあそこで●●がああしなかったら」というifがとても多く、その分だけ、そこに悲劇があった場合は見ているほうがつらくなります。だからこそここまでファンがいろんな人物に解釈を与えるんだなぁ、と思っています。この小説を一言でいうなら「因果応報」。歌舞伎の「三人吉さ」にも通ずるものを思い出します。
そうそう、ファンの解釈をみていても、指輪物語は学術的な考察が多いんですよね。たとえば世界観や神話的設定の裏話、作者の人生が作品にどう影響を与えたか、アルダ言語(作者トールキンが、作った架空の言語)と英語の比較、文法説明など。
それに比較すると「陳情令」は、各キャラの感情や人柄、人生、についての感想、考察がとても多いと感じています。そこが作風の違いなんだろうなあ、と思う。
で、どちらかいいとかではないけれど、わたしは両方好みですが、やっぱり精神的にがっつりくるのは後者だったりします(だから発散のためにこんな文章を書いている)。
ドラマでは、
第1話-第2話 現在(16年後)
第3話-第32話 過去
第32話-第50話 現在
という時系列で話しが進みます。けれども、とにかく最初の2,3話はかなり難しいです。出てくる登場人物が多いし、名前が漢字2文字や1文字。だいたい漢字があるとその漢字のイメージで頭に入れやすくなるのだけど普段使わない漢字も多いからイメージも出てこなかったり、中国の習慣なのだけど一人の人物をいろんな呼び方をするのでさらにわからなくなって頭が混乱します(名前に、一般的な呼び名に、親しいものがいうときのあだ名に、身分的な? 呼び方など)。ところがそこをぐっとこらえて通り越して3話目、4話目になるとだんだん人物関係が頭に入ってくるのでがぜん面白くなってきます。それと別に細かい性格設定がみえてくるので、一気にはまる人はここで物語に引き込まれていくのだと思います。なのでみてみて、ぜひドラマ自体にアレルギーがなければ、がんばって少なくとも5話目くらいはみてほしいなあと切に思います。
とにかく過去に戻ってからの3話目以降、16話目からだんだん辛くなっていきます。みているのが辛くなりました。テレビをみながら、なぜそっちを選ぶかな、うわーーこの展開、とどんどん追い詰められていく状況に愕然としながら寝不足になる日々。
っていうかですね、っていうかですね。最初に出てたラスボスっぽいもの(指輪でいったらサウロン)が死ぬのが第20話! 全50話のうちのまだ半分にもいってないですが!? これだけ悲劇があってここになだれ込んだのに、さらにこのあとあるの!? と思ったらそのあとがさらにつらいのです。第26話くらいで(雨の中で、藍湛と魏嬰が分かれるところですね)もう切なさに悶絶でした。ここでわたしは一回中断。
そのあとは、もう過去編最終話32話目はこうなるんだろうなとある程度悲劇が予想できていたので、ある意味諦観してみていられました。
過去が本当に見ていてつらかった分、現在に戻ってからはかなり心安らかにみてられました。過去にあったことの謎解き的な要素が多いのもあるし、前半では糾弾され孤立して追い詰められて、かなりわかりやすく傷ついていた主人公が、16年後ではある程度達観して、さらに過去守れなかったことに後悔していた藍湛が、今回は何があっても味方でいようという明確な意思が感じられたので主人公が孤独ではない、といったことが作用して、こちらもある意味心やすくみてられました。
前半、魏嬰は「俺が自分を守るために人を殺したら、残虐非道な人殺しで、俺のことを殺そうとするのは正義なのか!」みたいなことをいっていたのですが、後半は「(俺を陥れた犯人がだれかなんて)どうでもいいさ。人はだれかを攻撃したいそれがたまたま俺だったというだけさ。だからどうでもいいさ、そんなこと。人生で一人の知己を得られたらそれでいい」というようなことをいうのです。本当にいい変化だったな、と思います。
みているときの心理的辛さが少し軽減されたおかげで、謎解き要素に集中できて、いい意味で先が気になるが続くのが後半でした。
ただし長い後半も46話目以降はなかなかつらかったです。現在に戻ってから32話以降は謎解きがメインだからストーリー展開が気になる! なのですが、46話目から最終話までは感情の謎解き!(つまりあのとき●●はこう思っていた、みたいなお互いの感情を確認しあうみたいな) これがもう実はこう思ってた、ああ思ってた、みたいなのが一枚一枚帳をはぐように答え合わせしていくんですね。もちろんいい感情だけでもない、嫉妬や悲しみ、苦しみ、愛情、いろんなものがかぶるので、ここ涙流しながらみてました。つらい、辛すぎるよ、みんな!



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